文字を聴く

文字を聴く

小さい頃は小説を読むのが大好きだった。王道のハリーポッターは全巻揃えていて、新巻が出る前とか映画になる前は、1巻から毎回読み返してたくらい。何年か前にもう読まないと思ってハリポタと何種類かのお気に入り以外一気に手放してしまったけど、小学校の時からの本のコレクションは結構な量だった気がする。

どちらかと言うと、当時の私は速読派だったと思う(さすがに、テレビで見るみたいな1ページ1秒とかでははないけれど笑)。文字を読んでるっていうより、文字がサラサラっと聞こえてくる感覚。その聞こえたままに頭の中でどんどん映像が出来上がっていく。ハリーポッターに関していえば、小説から出来上がった私の頭の中の映像と、映画での映像が結構違くて(笑)でもそれはそれで面白くて、どっちも好き。

そこから、あまり本自体を読まなくなった時期が来た。受験のせい。随筆、小説、確かに筆者の意図はある。けど、その伝わり方 感じ方って読み手によって違っていいはず。なのになんで正解が一つしかないのか、なんで私が感じたことが回答の選択肢に存在しないのか、分からなかった。そこからです、文章を読むのが楽しくなくなったの。文字を見ても、何も頭に映像が浮かんでこなくなっちゃった。

大学に入ってからも、本は「勉強するためのもの」でちっとも楽しくなかった。楽しくなかったし、全然頭に入ってこない。

でもそれが、急に変わったのがつい最近で。あの福沢諭吉の「学問のすゝめ」の現代語訳版。本自体は高校の時から確か持ってたんだけど、当時はそれこそ全然頭に入ってこなくて途中でリタイア。それが、最近(といってもセブから帰って来たくらい)になって読み始めたら、なんか、めちゃ面白いじゃんこれ!!!って(笑)

何が面白いって、諭吉さんの大胆発言が満載すぎて!もちろん現代語訳版だから本人のことばそのままではないけれど、頭の中で、彼が喋ってるのが見えてきて、なんて言うのかな、躍動感がリアルに感じられて!そこから4回は読み直しました。

受験以来、文章を読む時はそこから必ず答えを見つけるために、一言一句見逃しちゃいけない!って思ってた。そして、全部覚えなきゃって。たまたま、「暇つぶしに読んでみるか〜」って何も身構えずに読むことができたから、昔みたいな感覚を取り戻せたのかなあ。

そこから、今までにリタイアしてきた本たちを読み返して気づいたこと。文字は話している。会話しているのと同じで、例えば、相手が言ったことを一言一句全部覚えようとしたら、何も頭に入ってこない。ただの文字の羅列を覚えている感じ。でも、相手が話している空気と、相手から出てくる言葉遣いを感じながら聞いていると、すごく会話って楽しくなるし、印象にも残る。

本は相手の声が文字になって見えるようになっただけ。そう思いながら読んでいると、会ったこともないのにその人が話してる姿が浮かんできて、声が聞こえる。そうすると自然に、内容もスッと入ってくる。小説や、エッセイだけじゃない。ビジネス書でも、論文でも。

私の最近のテーマ、「表現する」。文字はその手段の一つだと思う。ただ、伝えたいことを伝えるだけじゃない、その息遣いだったり、言葉の裏にある感情だったり、表情までも表現できる、すごいツール。

と、気づいてから、自分が普段使う文字って、相手にどんな印象を与えてるんだろうとか、文字でどこまで私を表現できてるんだろうとか、すごくワクワクし始めました。だからこのブログを通して、情報の発信だけじゃなくて、自分を表現することもやていきたいなと!思っております!

皆様どうぞ、おつきあいくださいませ・・・(笑)

ちなみに、ちょうど昨日から読んでる阿川佐和子さんの「聞く力」。あんまりテレビで話してるの見たことなかったんだけど、文字だけで彼女のキャラクターがすごく分かって、内容以上に面白い。もちろん内容もとても勉強になることがたくさん!おすすめです。

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